大引けの日本株で注目される決算と味の素の動きを表したサムネイル画像です。
結論から言えば、味の素の第1四半期は増収増益となり、会社は通期業績予想を上方修正しました。事業利益の進捗率は29.8%です。一方、営業キャッシュフローは前年同期を下回り、冷凍食品の事業利益も減少しました。長期保有の持ち株としては、利益の伸び、現金収支、株主還元を分けて見る決算です。
開示表題は「2027年3月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」です。8月6日15時30分にTDnetで公表されました。
実数では、売上高が前年同期比13.2%増、事業利益が27.3%増でした。親会社の所有者に帰属する四半期利益も13.1%増えています。
| 第1四半期実績 | 金額 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 412,105百万円 | 13.2%増 |
| 事業利益 | 60,116百万円 | 27.3%増 |
| 親会社の所有者に帰属する四半期利益 | 36,452百万円 | 13.1%増 |
| 営業活動によるキャッシュフロー | 18,409百万円 | 前年同期は30,419百万円 |
通期予想は、売上高を90億円、事業利益を50億円、親会社の所有者に帰属する当期利益を35億円引き上げました。
| 修正後の通期予想 | 金額 | 前期比 | 第1四半期進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆7,320億円 | 9.4%増 | 23.8% |
| 事業利益 | 2,020億円 | 11.5%増 | 29.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,235億円 | 8.3%減 | 29.5% |
基本的1株当たり当期利益の予想は129.84円です。利益予想は上方修正されましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比では減益予想となっています。
持ち株への影響を考える際は、8月6日の終値と決算内容を切り分ける必要があります。味の素は5,196円で大引けを迎え、前日比2.57%安でした。ただし、決算開示は15時30分です。同日終値は開示前または開示時点に形成されたため、この下落を決算への反応とは読めません。反応は次の取引時間の株価と出来高で確認します。
| 8月6日の市場データ | 大引け値または取得値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 味の素 | 5,196円 | 2.57%安 |
| 日経平均 | 65,683.26 | -0.93% |
| TOPIX連動ETF | 423.7円 | +0.57% |
| ドル円 | 157.85円 | 0.10%の円安・ドル高方向 |
日経平均だけでは、この日の地合いを十分につかめません。日経平均が-0.93%だった一方、TOPIX連動ETFは+0.57%と逆方向でした。味の素の値動きも両者とは異なります。持ち株への影響は、日経平均の下落だけで判断せず、個別株とTOPIX連動ETFを併せて確認する必要があります。
材料の中心は、ヘルスケア等セグメントです。会社は、AI、サーバー、ネットワークなどの高性能基板向け電子材料の販売が好調だったとして、同セグメントの通期予想を引き上げました。
ヘルスケア等の第1四半期売上高は970億円で前年同期比22.8%増、事業利益は251億円で63.3%増でした。通期予想に対する事業利益の進捗率は29.6%です。
調味料・食品も増収増益でした。売上高は2,387億円で11.9%増、事業利益は410億円で13.0%増となっています。一方、冷凍食品は売上高が725億円と5.6%増えたものの、事業利益は21億円で23.2%減りました。
会社は今回の見直しに、前回予想へ未反映だった中東情勢緊迫化の影響や、販売状況、原材料コストなども含めています。ただし、それぞれの影響額は示していません。
株主還元では、年間配当予想を50円に据え置きました。内訳は中間25円、期末25円です。直近予想からの修正はありません。
次に見る数字は、営業キャッシュフロー、冷凍食品の事業利益、会社の為替前提です。
営業活動によるキャッシュフローは18,409百万円と、前年同期の30,419百万円を下回りました。会社は、棚卸資産が28,633百万円増えたことや、法人所得税を16,731百万円支払ったことなどを示しています。
有利子負債は前期末から1,410億円増えて6,237億円となりました。コマーシャルペーパーの発行などによるものです。親会社所有者帰属持分比率は前期末の42.5%から39.9%へ低下しました。
通期予想の為替前提は1ドル150円です。取得時点のドル円は157.85円でした。会社前提との差が今後の業績へどの程度表れるかは開示されていないため、次回決算で為替前提と業績予想の変更有無を確認します。
決算への判断を強める条件は、電子材料の販売好調が続き、事業利益2,020億円への進捗が積み上がることです。営業キャッシュフローが前年同期の30,419百万円に近づくかも見逃せません。
反対に見方を慎重にする条件は、電子材料の伸びが鈍ること、冷凍食品の事業利益減少が続くこと、有利子負債の増加に対して営業キャッシュフローが改善しないことです。
株価については、次の取引時間に5,196円を基準として、値動きと出来高を確認します。上値を追えるかどうかを決算発表日の下落だけで決めず、会社計画と現金収支の変化を併せて見る場面です。