
日本製鉄は8月4日15時30分、TDnetで「業績予想の修正に関するお知らせ」を出しました。上期・通期とも親会社の所有者に帰属する当期利益を引き上げ、通期は前回の2,200億円から2,900億円です。8月4日の終値646円(前日比-0.15%)は開示前に形成された数字で、市場の反応は5日の寄り付き以降で確認します。
日経平均だけでは地合いが足りない
前日大引けの日経平均は+0.32%、TOPIX連動ETFは+0.15%でした。指数は小幅高でも、日本製鉄の業績修正は大引け時刻に出ており、持ち株の確認は指数より開示内容が先です。寄り前のドル円は157.78円です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 日経平均(8月4日大引け) | 63,957.53、+0.32% |
| TOPIX連動ETF | 412.4円、+0.15% |
| ドル円(8月5日寄り前) | 157.78円 |
| 日本製鉄(8月4日終値) | 646円、-0.15% |
| 売買代金(同日) | 約257億円 |
日経平均とTOPIX連動ETFの上げ幅はそろっていません。指数の方向だけを見て個別の上方修正を読み替えると、売上と利益の中身を取り違えやすくなります。
持ち株は売上より利益の伸びを見る
今回の修正は、売上の増額より利益の増額のほうが大きい構図です。上期の売上収益は前回比+3.7%にとどまる一方、事業利益は+18.2%、親会社利益は+33.3%です。通期も売上は+1.8%、事業利益は+18.9%、親会社利益は+31.8%です。
長期保有で日本製鉄を持つなら、まず「いくら増えたか」より「何が増えたか」を分けます。価格改定や数量で売上全体が押し上がったのか、利益率の改善や一時要因が効いたのかで、同じ上方修正でも意味が変わります。
修正理由に一時要因が混ざる
会社が示した修正理由は、次の両面です。
マイナス側は、国内を中心に中東影響も含めた外部環境の変化に伴う原燃料等コストの上昇と、中東向け鋼材輸出の減少です。プラス側は、米国鋼材市況の上昇や収益改善施策の効果を踏まえたUnited States Steel Corporationの収益改善に加え、在庫評価差益の拡大等です。
| 項目 | 前回発表予想 | 今回修正 | 増減額 | 増減率 |
|---|---|---|---|---|
| 上期・売上収益 | 5兆4,000億円 | 5兆6,000億円 | +2,000億円 | +3.7% |
| 上期・事業利益 | 2,200億円 | 2,600億円 | +400億円 | +18.2% |
| 上期・親会社利益 | 900億円 | 1,200億円 | +300億円 | +33.3% |
| 上期・1株利益 | 17.00円 | 23.00円 | — | — |
| 通期・売上収益 | 11兆円 | 11兆2,000億円 | +2,000億円 | +1.8% |
| 通期・事業利益 | 5,300億円 | 6,300億円 | +1,000億円 | +18.9% |
| 通期・親会社利益 | 2,200億円 | 2,900億円 | +700億円 | +31.8% |
| 通期・1株利益 | 42.00円 | 55.00円 | — | — |
在庫評価差益の拡大は、会社自身が理由に挙げた項目です。本業の数量やスプレッドの改善と、評価差益のような一時色の強い要因は、同じ「上方修正」でも持続性の見方が分かれます。会社は詳細を同日開示の『2026年度第1四半期決算について』に委ねています。
次に見る数字は寄り付き後の値動きと寄与の内訳
5日の寄り付きでは、日本製鉄の始値、寄り後の値動き、出来高を先に見ます。4日終値の-0.15%は開示への反応ではありません。
あわせて、第1四半期決算側で在庫評価差益の規模と、United States Steel Corporationの収益改善がどれだけ寄与したかを確認します。売上の増額が上期・通期とも2,000億円にとどまる一方、通期の事業利益は1,000億円増えているため、利益率と一時要因の内訳が次の判断材料になります。
地合いの補助線としては、ドル円が157.78円近辺からどう動くか、日本10年国債利回り(8月4日時点2.859%)の方向も、輸出や資金コストの前提として見ておきます。
判断を変える条件
判断が変わるのは、次のいずれかが開示や値動きで明確になったときです。
在庫評価差益の寄与が大きく、本業の数量やスプレッドの説明が薄いと分かった場合は、上方修正の持続性を割り引いて見ます。逆に、米国鋼材市況とUnited States Steel Corporationの改善が継続し、原燃料コストや中東向け輸出のマイナスが計画内に収まる説明が積み上がれば、利益計画の前提は固くなります。
寄り付き後に売買が薄いまま指数だけ動く日は、個別材料の消化が遅れている可能性があります。指数の+0.32%や+0.15%を、そのまま日本製鉄の開示評価に置き換えない ind ind ind ind ind ind ind ind ind